Maison de Verre 1931
ガラスの家
Paris,France
Pierre Chareau (1883-1950)
Bernard Bijvoet (1889-1979)



パリ中心部サンジェルマン・デュ・プレに建つ、診療所兼用住宅。
インテリアデザイナーのピエール・シャローと建築家ベルナール・ベイフットによる、鉄骨プレファブ工法の最も早い時期の実例として知られている。

ガラスの家は、18世紀に建てられたアパルトマンの上階に住む住人が移転を拒否したため、2階までをくりぬいてそこに三層の箱を新設する方法でつくられた。鋳鉄に代わって登場した形鋼が内外にそのまま用いられており、ファサードの全面ガラスブロックと共に規格品を意匠として多用したという点でも、先駆的な作品である。

診療室にあてられた1階と、3階のプライベート・ルームをつなぐ吹き抜け部分は、天井いっぱいまでのガラスブロックの光が拡散する印象的なサロンとなっている。また、ガラススクリーンやパンチングメタルの間仕切壁を通して隅々まで浸透する光、レベルや材料が様々に変化する床などの巧みな演出によって、工業製品が生みだす豊かな空間を実現している。

[Photo from Wikimedia Commons]