Villa Savoye 1931
サヴォア邸
Poissy,France
Le Corbusier(1887-1965)


保険会社を経営するサヴォア家のために建てられた週末用の別荘。1929年の著作「建築をめざして」の中で「住宅は住むための機械である」と述べた20世紀の巨匠、ル・コル ビュジエの代表作である。サヴォア邸は、ピロティー・屋上庭園・自由な平面・横長の連続窓・自由なファサードというコルビュジエが提唱した「新しい建築の5つの要点(近代建築の五原則)」が体現された作品としても知られている。

「近代建築の五原則」は、鉄筋コンクリートという新しい技術の誕生により、ヨーロッパの建築が伝統的な組石造から開放されたことで実現した。コルビュジエは、サヴォア邸竣工の17年前に、柱とスラブ、階段のみで構成された「ドミノシステム」としてまずその基本理念を発表し、それに基づいた最初の実現例としてクック邸を示した。そして、サヴォア邸によってその完成度をさらに高め、それまでに無い開放的な空間を具現化した。

一方でこの住宅は、単なる五原則の具現化にとどまらない、詩的な表現に溢れた豊かな作品でもある。そのことは、「近代建築の五原則」が画一的な教条主義として提唱されたものではなく、コルビュジエが歴史から学んだ様々なイメージの結果であったことを示している。

[Image by Mary Ann Sullivan]