Fallingwater 1936
落水荘
Bear Run,Pennsylvania,USA
Frank Lloyd Wight (1867-1959)



ペンシルバニア州ピッツバーグの百貨店オーナー、エドガー・J・カウフマンのための狩猟用の山荘。ライトが69歳の時の代表作であり、1966年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されている。

落水荘が滝の上の岩に建てられたのは、カウフマンが自身の所有する数十万坪の敷地の中で、最も好きな場所だったからだと伝えられている。ライトはその場所に、巨大なコンクリートの片持梁が層を成す、自然に根をおろした理想の「有機的建築」をつくり上げた。内部にも粗い表情を示す石積みの壁や柱、乱貼りの石床などを用いて、風景との完全な調和が図られている。

1893年にサリヴァン事務所から独立したライトは、ロビー邸をはじめとするプレーリー・スタイルと呼ばれる住宅様式を確立し、1910年頃までに第一黄金期を迎えていたが、クライアントのひとりであったママー・チェニーとの不倫騒動の末、ヨーロッパへの逃避行というスキャンダルを起こす。帰国後も使用人による凄惨な事件が起きるなど、20年以上に渡って不遇の時期を過ごすが、この落水荘と1939年のジョンソン・ワックス本社の成功が、のちのグッケンハイム美術館(1959)、マリン郡庁舎(1963)へと続く第二黄金期を築くきっかけとなり、晩年までその旺盛な創作意欲は衰えることがなかった。

[Photo from Wikimedia Commons]